それを思い出そう
国内外の騒ぎや、世界経済状態などを見ると、
今、日本文化や日本民族が、
地球から消滅するかも知れない危機に、
立たされている気がしてならない。
もし、日本に品格があれば、中国にもロシアにも、北朝鮮にも、
その他世界のいかなる国にも、侮られることはないはず。
それは、国家の品格などではなく、国民の品格である。
人間としての矜持である。
幕末明治の騒乱期にさえ、日本が、欧米列強に植民地化されなかった理由は、
国民1人ひとりに、欧米人から刮目されるほどの、品格があったからだ。
今こそ、それを思い出さねばならない、と思う。
“和”を重んじる「敵ながらあっぱれ」「武士の情け」
「大岡裁き」「三方一両損」という発想は、日本独特のものではないか。
存亡を賭けた戦いの中にも、その先にある真理を見つめる。
敵に対しても、酌量すべきものはきちんと汲みあげる。
杓子定規ではない、柔軟現実的な対処を尊ぶ。
みんなで少しずつ損をしてでも、大局的に最良の解決を図る――
そういう聡明さと優しさを、私たちの祖先は保ち続けてきた。
TVや雑誌新聞をはじめとする、居丈高で喧騒な、
衆愚メディアに惑わされずに。
たとえ小さな声でも、英知と良心溢れる発信にこそ、耳を澄まそう。
それでなければ、再び道を誤るだろう。
今の日本は、戦前(昭和初期)の状況にそっくりだ。
太平洋戦争は、ある日突然、降りかかった災難ではない。
英知と良心を弾圧し、理性を虐殺し、
国民をもの言えぬ奴隷として、美辞麗句で煽って支配した、
国家権力の暴走を、
昭和20年の地獄に見る、恐ろしい帰結を、
私たちは、絶対に忘れてはならない。
扇情的な国会質疑や政局報道には、心底、怖気が走る。